この時期は台風の話題が多くなる頃ですが、そのほかにも地震や津波、大雨など避難を余儀なくされるような災害には、日頃から準備と心構えが必要となります。
「防災の日」って?
防災の日は、昭和35年(1960)年6月11日の閣議で、9月1日を防災の日とすることが了解されたことに始まります。
9月1日を防災の日とした経緯は、以下のとおりです。
9月1日は、関東大震災が発生した日であるとともに、暦の上では二百十日に当たり、台風シーズンを迎える時期でもあり、また、昭和34(1959)年9月26日の「伊勢湾台風」によって、戦後最大の被害(全半壊・流失家屋15万3,893戸、浸水家屋36万3,611戸、死者4,700人、行方不明401人、傷者3万8,917人)を被ったことが契機となって、地震や風水害等に対する心構え等を育成するため、防災の日が創設されました。
私たちは関東大震災も伊勢湾台風も経験していませんが、地震・津波で言えば東日本大震災や大阪府北部地震など、雨で言えば西日本豪雨(平成30年7月豪雨)や令和2年7月豪雨など、様々な災害を経験し、また目の当たりにしています。
実際に感じた自然災害の怖さや、その際に得た教訓などを、次への備えとして再認識・再確認しておく必要があるのだと思います。
事前にできる対策は?
災害はいつ、どんな状況で訪れるかわかりません。事前に考えておくことで、頭の中に余裕が生まれ、最適な避難ができる可能性を高めることができます。
家族間で避難経路や避難場所を確認しておく
自宅の周りのみならず、子どもの保育園や学校、親の職場など、日常的な行動の範囲をリストアップし、それぞれの場所に合った避難や集合についての計画を立てておくことが大切です。
避難袋・防災リュックの準備
最近は市販の非常時持ち出しセットも増えてきていますが、買って満足するのではなく、自分にとって使いやすい、必要なものが揃ったセットを作っておくことが重要です。
- 食料の賞味期限の点検
- 常備薬だけでなく持病等に関する医薬品の確保
- 連絡や情報入手に欠かせないスマホの充電グッズ(モバイルバッテリーの場合はそれ自体の充電)
- 感染症予防のためのマスクや消毒
- 母子手帳やお薬手帳、保険証
- 子ども用歯ブラシ
- 絵本など避難先でも気の紛れるもの
などなど、普段の生活で使っているものをしっかり代替できるような準備をしておきましょう。
また、水やお湯の確保ができない場合も多いので、乳児がいる場合は液体ミルク、離乳食であれば温め等不要でそのまま食べられる離乳食などを用意しておくと安心です。
さらに、夏ならうちわや虫よけスプレー、冬ならカイロや防寒具など、季節によって揃えたいものもあるので、なるべく中身を見直しておく必要がありますね。
就寝環境づくり
寝ているときに災害が起こると、すぐに行動できなかったり、パニックになったりすることがあります。そのため、就寝時にも以下の用意ができていると、とっさの時に少し落ち着けることでしょう。
- 頭の方に重いものや倒れやすいものを置かない
- 窓など割れやすいものの近くで寝ない
- 手の届く範囲に懐中電灯やスマホを置いておく
- スリッパなど足裏を守れる履物も置いておく
災害時に注意することは?
災害の種類によってもとるべき行動は異なりますが、まずは「何が危険か」「周囲にどんな危険があるか」を把握し、危険を遠ざけることが大事です。
地震・津波の際はまず安全な場所へ
東日本大震災以来、緊急地震速報やエリアメールなど、事前に地震を知る手段が増えています。もしも「大きな地震が来る」と思ったら、まずブロック塀や大きな家具から離れ、また机の下など落下物を防げる場所に移動してください。
外出中であれば子どもがベビーカーに乗っている場合もあると思いますが、抱っこのほうがより迅速に動けますし、子どもが自分により近いため危険察知にも有効です。
さらに、もしも海沿いにいるなど津波のリスクがある場合は、海岸からなるべく遠く、なるべく高い場所へ避難する必要があります。
台風・大雨の際は早めの避難を
ゲリラ豪雨や突風・竜巻など予測困難な現象がある一方、天気予報の発展により多くの災害を予見することができるようになってきています。
また、最近は「警戒レベル」という指標で、避難などとるべき行動が直感的に理解しやすくなっています。
こういった気象情報や自治体情報をしっかりと活用し、まずは早めに避難することが重要です。
避難先はどうする?
1、指定避難所
避難所が開設される際は、各地方自治体によって一定の感染症対策がとられるかと思います。周囲に危険を感じたら、迷わず移動してください。
2、安全な場所の親戚や知人宅
避難所への集中を少しでも緩和させるため、安全な知り合いや親戚宅への避難も検討してみてください。
3、安全な場所で車内待機
多くの人と同じ空間で過ごすことに不安を感じる場合は、できるだけ人との接触を避けるために、安全な場所で車内待機をするという方法もあります。
ただし、長時間の車内待機はエコノミークラス症候群発症の可能性もあることから、可能な範囲で体を動かしたり、水分を取るなどの対策をとる必要があります。避難生活が長期間に渡る場合は、車中で過ごすことは避けるようにしてください。
4、在宅避難
自分がいる場所が安全であれば、無理に動く必要はありません。1階から2階へなど、高いところへ移る「垂直避難」も有効な方法と言えます。
いわゆる避難所以外にも、避難先として利用可能な場所はいくつか考えられます。
ただ、子連れでの避難の場合、子どもがどのくらい静かにしていられるか、子どもがストレス少なく過ごすことができるか、授乳やオムツ替えなどプライベートな空間を作ることができるか、ミルクや食料の確保がしやすいか、など様々なことを考える必要があります。
まとめ
災害発生時はパニックになりやすく、最適な判断ができない可能性が高まります。
災害の種類ごとに、また災害発生前・発生時・災害に見舞われたあとといったタイムラインに沿って、それぞれに必要な準備と確認を、常日頃からしておくのが重要と言えそうです。