ハンドリガードって何?やらないとダメ?

ハンドリガード

『ハンドリガード』とは?

自分の手をじーっと見つめている赤ちゃんを見かけた事がありませんか?

見つめるだけでなく、舐めたり口に押し込んだりすることもあると思います。手を不思議そうに眺めるこの仕草を『ハンドリガード(Handーregard)』と言います。

『ハンドリガード』は生後2〜3ヶ月以降から見られるようになり、手だけでなく足を見つめたり体の部位を見つめたりし、「これはなんだろう?」「動かせるぞ?」といった感じで自分の体を認識し始めるきっかけの動作です。

ハンドリガードは赤ちゃんが自分で動き出す準備段階

生まれたての赤ちゃんは、脳の発達が未成熟で自分の意思で体を動かすことが出来ません。生後2ヶ月くらいたつと、脳が発達し自分で体をコントロールし始める時期に入ります。

この時期になると目で見たモノに興味をもち、手を伸ばそうという意欲が生まれ、考えたことを体現しようという努力を始めます。こうしたことを始まりとして頭と体の繋がりに気がつき、赤ちゃんは自分の“手”を認識することができるようになります。

今まで意識していなかった自分の手をじっと見つめ「これは何だろう?」と不思議そうにしているのは、これから自分の体を動かすために“脳と体の連結作業”を行なっている段階なのです。

『ハンドリガード』は赤ちゃんが発達したサイン

『ハンドリガード』を行えるということは、自分の意思で動くことが出来なかった赤ちゃんに「モノを目で見る力」と「体を動かす力」が身につき、脳と体が発達してきたこと示します。

モノを目で見る力

新生児期の視力は非常に低く、明るさや暗さの判断ができる程度で色もはっきりしたモノがぼんやりとわかる程度の視力です。

焦点を合わせたり動くモノを目で追tたりはできません。生後1ヶ月くらいすると、モノをじっと見つめること(注視)や動くモノに視線を合わせること(追視)が行えるようになり、焦点を合わせられるようになってきます。『ハンドリガード』で手を見つめることができるのは注視や追視が安定して行えるような視力が発達した証拠と言えます。

体を動かす力

冒頭でも述べましたが、生まれたばかりの赤ちゃんは自分の意思で体を動かすことが出来ません。脳の発達に伴って自分の意思で体を動かすことができるようになります。『ハンドリガード』を行えるようになるのは、脳が発達し体を動かす準備ができ、頭で考えたことを実行することができるようになった証拠です。

「目で見る力」と「体を動かす力」が発達し『ハンドリガード』が行えるようになる。

『ハンドリガード』は動き出すキッカケ

赤ちゃんが動き出す過程として

①目線を合わせる(注視)→②目で動くモノを追いかける(追視)→③首が座り視野が広がる→④追視と共に首や手が動き、興味があるモノの方を向く、あるいは手を伸ばす→⑤目線に合わせた体の動きを獲得し、寝返りやハイハイなどの基本動作に進む

赤ちゃんが動き出す過程

と言う一連の流れがあり、『ハンドリガード』は③④の時期に始まります。この時期は生後2〜3ヶ月頃で「原始反射」も徐々に消失し自分で体をコントロールできるようになる時期です。このあたりから周囲へ興味を持ち動き出そうという意欲が生まれ、考えたことが動作に出ることで体を認識し始めるのです。

“目で見たモノに手を伸ばそうとする”努力は、今後の赤ちゃんが動き出すキッカケや原動力に繋がる大事なステップです。その過程で出現する『ハンドリガード』は、頭で考えたことを体で表現する“脳と体の連結確認作業”です。私たちから見ると、何をやってるいるのか不思議であり、見ていて微笑ましい『ハンドリガード』ですが、赤ちゃんにとってはとても意味のある成長のステップなのです。

ハンドリガードをしなかったら?

赤ちゃんの発達にとって重要なステップの『ハンドリガード』。一般的に見られる時期に見ることができない場合は発達に何か問題があるのでは?と心配になることもあるかもしれません。

しかし、『ハンドリガード』が見られないことは必ずしも問題があるわけではありません。

そもそも、赤ちゃんの発達や動作の出現には個人差があることや、『ハンドリガード』は“脳と体の連結確認動作”なので、手以外で行う場合もあります。行っていても見逃している場合も十分にあり『ハンドリガード』が“出現しない=発達に異常がある”わけではありません。

はっきりと見られなくても、成長の一過程として見かけられたらラッキー!くらいに考えておくといいかもしれません。どうしても見られなくて心配な場合は、近くの小児科や相談窓口を設けている施設に相談してみてください。

[注意]
本記事の内容は著者の専門家としての見解に基づくものです。ただし、特定の環境や個々の事例によって効果・リスクは異なる場合があるため、判断および行動による結果について責任を負うものではありません。安全の確保等は皆様の責任で行い、ご不安な場合はかかりつけ医に相談するなどしてください。

この記事を書いた人

理学療法士

古橋沙やか